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国連・人種差別撤廃委員会が日本政府に勧告

「最終的に被害を受けるのは朝鮮学校の生徒たちだ。」

 2014年8月、スイス・ジュネーブで行われた国連・人種差別撤廃委員会。日本政府定期報告書に対する審査が行われた。1995年に人種差別撤廃条約を批准している日本に対しての審査は2001年、2010年に次いで3回目となる。
 日本政府代表団による報告が行われた後、全18名の委員のうち三分の一にあたる6名の委員が朝鮮学校の「無償化・補助金問題」について言及した。「朝鮮学校は政府による支援を受けられていない。日本政府が朝鮮学校の教育を支援する方法を探るように」「他の学校—中華学校やアメリカンスクールと同じカテゴリーに無く、朝鮮学校だけが別扱いされているように見える」「朝鮮学校が補助されていない。この差別的取扱いの根拠はは何なのか。言語か、国籍か、教育の質か? なぜ? 私たちの条約に反する差別か?」「朝鮮学校除外は、拉致問題調査の進展不足という決定に基づいていると理解する。これは、多くの人々の適切な教育を奪ったことについて、曖昧な理由に思える」といったものが委員たちの主な発言であった。
 これに対して、日本政府・文部科学省の代表は「朝鮮学校の『高校無償化』にかかる不指定処分は差別にあたらない」「朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係にあり、また朝鮮総連は北朝鮮と密接な関係にあると認識している」「今後、朝鮮学校が都道府県知事の認可を受けて一条校になるか、または北朝鮮との国交が回復すれば、現行制度でも審査の対象となり得る」「一条校や、すでに指定を受けている外国人学校には、現に多くの在日朝鮮人・在日韓国人が学び、本制度による支援を受けているので、国籍を理由とした差別にはあたらない」と回答した。
 その後、日本代表の不誠実な回答を非難し、差別を指摘する質問が多くなされたが、文科省からの回答は委員からの質問をはぐらかし、あらかじめ用意した回答を繰り返すことに終始した。
 審査が終わりに近づいてきた頃、モーリシャスの委員が日本政府の回答を批判したうえで「無償化」問題について再度発言した。

「18名の委員がいますが、そのうち多くの委員から質問が出されたとしたら、それは貴方たちに繰り返し訴えていることを意味します。なぜなのでしょうか?質問が2回も3回も出される理由は何なのでしょうか?答えは単純です。回答が満足なものではないからです。それが私たち委員の思いだということをはっきりさせておきましょう。」
「さて、私も繰り返しになると思います。これまで何度も何度も出されている問題について質問をします。朝鮮学校についてです。私が昨日質問した内容は、中華学校やアメリカンスクールなど、日本語以外の言語・文化を促進する他の学校と一緒に分類されている中で、差別が存在するという主張があるということだったと思います。…… 一人の職員から、審査を経て朝鮮学校が基準を満たさなかったと聞きました。その基準とは何なのでしょうか?それらの学校が朝鮮民主主義人民共和国に近いということでしょうか?しかし、委員から出されている基本的な質問は、これは差別の問題ではないのか、ということです。人種主義の、人権の問題ではないでしょうか?最終的に誰が被害を受けるのでしょうか?それは朝鮮学校に通う学生たちです。私たちはそのような観点から、差別が存在すると言っているのです。…… 私たちがこの問題にこだわっているのは、これが差別という人権侵害の問題であると私たちが感じているから繰り返されているのです。」

 こうしたやり取りを経て、日本審査は終了した。

 審査終了から一週間が経った8月29日、委員会は日本政府に対して30に渡る勧告を含む総括所見を公表した。うち「朝鮮学校」という項目の着いたパラグラフ19では、以下のような懸念および勧告が表明された。

朝鮮学校
19.委員会は、朝鮮を起源とする子どもたちの下記を含む教育権を妨げる法規定及び政府による行為について懸念する。
(a)「高校授業料就学支援金」制度からの朝鮮学校の除外
(b)朝鮮学校へ支給される地方政府による補助金の凍結もしくは継続的な縮減(第二条と第五条)
市民でない者に対する差別に関する一般的勧告
30.(2004年)を想起し、委員長は締約国が教育機会の提供において差別が無いこと、締約国の領域内に居住する子どもが学校への入学において障壁に直面しないことを確保する前回総括所見パラグラフ22に含まれた勧告を繰り返す。委員会は、締約国がその見解を修正し、適切な方法により、朝鮮学校が「高校授業料就学支援金」制度の恩恵を受けられるようにすること、また、朝鮮学校への補助金支給を再開もしくは維持するよう、締結国が地方政府に進めることを奨励する。委員会は、締約国がユネスコの教育差別禁止条約(1960年)への加入を検討するよう勧告する。

【勧告の意義】
1.朝鮮高級学校に対する「高校授業料就学支援金」制度適用除外と、地方自治体による「補助金支給停止」が、国際人権法上の「人種差別」であることが明らかにされたこと。
2.委員会日本政府に対して見解を修正し、適切な方法により朝鮮学校の無償化制度適用を勧告していること。

 同委員会で「補助金」問題の是正を求める勧告が出されたのも初めてのこと。日本の地方自治体も条約を誠実に遵守する義務があるため、この勧告に従って朝鮮学校への補助金を再開若しくは維持しなくてはならない。
 さらに、この度の総括所見では30の勧告の内「徳に重要な勧告」とされた四つの勧告に、上記の朝鮮学校に関する勧告が含まれた。朝鮮学校生徒たちの日本政府・地方自治体による教育権侵害が特に重要な問題であるという認識を委員会が明らかにしたことの意義は非常に大きい。

※次回の日本政府報告書(2017年1月までの提出が義務付けられている)に、朝鮮学校への「無償化」適用や地方自治体の補助金再開・維持のために日本政府がどのような措置を取ったのか詳細に報告する義務があるとされている。

日本弁護士連合会が政府に宛てて会長声明

大阪から始まった各地弁護士会からの声明文や行政への要請文。ついに日本弁護士会からも「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」が出されました。

文部科学大臣は、本年3月29日、朝鮮学校をその区域内に有する28都道府県知事宛てに、「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)」を発出した。

同通知は、朝鮮学校について、「北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総聯が、その教育を重要視し、教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしている」という政府の認識を示したうえで、対象自治体の各知事に対し、大要、「朝鮮学校の運営に係る上記のような特性も考慮の上、補助金の公益性、教育振興上の効果等に関する十分な御検討と補助金の趣旨・目的に沿った適正かつ透明性のある執行の確保」を要請している。

しかし、補助金の支給権限は地方自治体にあり、その判断と責任において実施されるべきところ、同通知は、具体的な事実関係を指摘することなく、上記のような政府の一方的な認識のみを理由として、数多くある各種外国人学校のなかの朝鮮学校のみを対象として補助金交付を停止するよう促しており、事実上、地方自治体に対して朝鮮学校への補助金交付を自粛するよう要請したものと言わざるを得ない。このことは、同通知を受けて、実際に補助金の打ち切りを検討する自治体が出てきていることからも明らかである。

朝鮮学校に通学する子どもたちも、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利である学習権(憲法26条第1項、同13条)を保障されている。そして、朝鮮学校は、六・三・三・四を採用し、学習指導要領に準じた教育を行っている。そもそも、朝鮮学校は、歴史的経緯から日本に定住し、日本社会の一員として生活する、朝鮮半島にルーツをもつ在日朝鮮人の子どもたちが通う学校であり、民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として既に一定の社会的評価が形成されてきた(大阪高裁平成26年7月8日)。

それにもかかわらず、子どもの教育を受ける権利とは何ら関係を持たない政治的理由により補助金の支給を停止することは、朝鮮学校に通学する子どもたちの学習権の侵害につながるものである。

また、朝鮮学校に通う子どもたちが、合理的な理由なく他の学校に通う子どもたちと異なる不利益な取扱いを受けることは、憲法14条などが禁止する不合理な差別的取扱いに当たり、憲法の理念を反映させた教育基本法4条1項の教育上の差別禁止の規定にも反し、我が国が批准する国際人権(自由権・社会権)規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約が禁止する差別にも相当する。2014年(平成26年)8月に採択された国連人種差別撤廃委員会による最終見解においても、朝鮮学校への補助金の不交付等の措置に対し、「朝鮮学校に対し地方自治体によって割り当てられた補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む、在日朝鮮人の子どもの教育を受ける権利を妨げる法規定及び政府の行動について懸念する」旨の指摘がなされているところである。

当連合会は、全ての子どもたちが教育を受ける権利を平等に享受することができるよう、政府に対して、朝鮮学校に対する補助金交付の停止を、事実上、地方公共団体に要請している同通知の撤回を求め、また、地方公共団体に対しては、朝鮮学校に対する補助金の支出について上記憲法上の権利に配慮した運用を行うよう求めるものである。

 2016年(平成28年)7月29日

日本弁護士連合会
会長 中本 和洋

研究者有志たちが文部科学省に対し抗議声明

朝鮮学校への地方公共団体の補助金に対する政府の不当な介入に抗議する研究者有志の声明

抗議声明文
声明本文
2016年5月26日

内閣総理大臣 安倍晋三 様
文部科学大臣 馳 浩 様

 2016年3月29日、文部科学大臣は「朝鮮学校に係る補助金に関する留意点について」という通知を28都道府県知事宛に送付しました。わたしたち研究者は、これを政府による民族教育に対する不当な介入であると考え、ここに抗議します。

 同通知は、地方公共団体に朝鮮学校に係る補助金の支給停止を直接求める文面にはなっていないものの、既に各地で動揺が広がっています。それは、報道などで公表されている経緯からして明らかであるように、この通知が、自由民主党および日本政府による朝鮮民主主義人民共和国に対する一連の「制裁」に関する議論と措置の一環として出されたためです。補助金の支給自体はこれまでどおり各地方公共団体の自治的な判断に委ねられているとはいえ、「北朝鮮への圧力」といえば何をやっても許されるかのような風潮が作り出されてきたなかで、政府がこのような通知を出す目的と効果は明白です。

 在日朝鮮人による自主的な民族教育に対して、日本政府はその権利を保障するどころか、歴史的に一貫して冷淡で、ときに直接的な弾圧を加えてきました。日本政府は、戦前には「民族的色彩」が濃厚と判断した教育施設を弾圧し、戦後の脱植民地化の趨勢のなかでようやく各地にできあがった民族教育施設に対しても1948~50年にかけて多くを強制的に閉鎖し、さらに1965年の文部事務次官通達などを契機に閉鎖を含む統制を加えようとしました。

 各地の地方公共団体は、こうした国の政策にもかかわらず、外国にルーツをもちながら地域住民として生きる子らの民族教育に対する地域社会の理解を基礎とし、地方自治の精神にのっとって補助金制度を設けてきました。ところが、近年ふたたび日朝関係の悪化を背景に、日本政府は朝鮮学校を高等学校等就学支援金制度(いわゆる高校無償化制度)から排除し、このことが一部の地方公共団体による補助金の打ち切りや減額を誘発しました。そしてついに今回、地方公共団体の補助金交付に直接介入してきたのです。

 このような昨今の日本政府による朝鮮学校への政策は、各種の国際人権法や日本国憲法で定められた平等権、学習権を政治的事由にもとづいて不当に侵害するにとどまらず、それ自体が人種差別撤廃条約で禁止しているレイシズム(人種・民族差別)の一形態に他なりません。実際、2014年に国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して、朝鮮学校生徒への高等学校等就学支援金の支給と、地方公共団体補助金の「再開あるいは維持」を要請しています。日本政府は、この要請を「留意点」として地方公共団体に通知すべきであるにもかかわらず、むしろ反対に人種差別撤廃委員会が懸念を示している政策を維持、拡大しようとしています。

 今回の通知は、排外主義を助長することになるだけでなく、それ自体が結果的に「ヘイトスピーチ」と同様の機能をもってしまうことに、わたしたちは懸念を表明せざるを得ません。2009年には京都の朝鮮学校に対して排外主義団体が激しい示威活動をおこないましたが、この事件に対して裁判所は、当該活動によって朝鮮学校の「社会的評価」が低下させられ「民族教育を行う社会環境」が損なわれたことを重く見て高額賠償を求めました。この観点からすれば、今回の通知は、長年にわたって地域社会で培われてきた朝鮮学校の社会的評価と社会環境に負の影響を及ぼそうとする目的と効果において、排外主義団体が学校前でおこなった言動に比肩するものです。

 以上の点から、わたしたちは今回の文科大臣通知に強く抗議するとともに、その撤回を要求します。また、文教政策において朝鮮学校に対するレイシズム(人種・民族差別)をただちに中断し、国際基準に照らして民族教育を保障するよう求めます。

韓国の市民団体、日本の裁判所へ共同声明

日本の司法府よ、朝鮮学校の教育平等権を保障せよ

(韓国・統一ニュースで取り上げられた記事を以下に紹介します。)

 朝鮮学校に対する日本政府の「高校無償化」不指定措置に関する司法の判決が間近に迫るさなか、韓国の市民社会団体が22日、日本の司法による教育平等権を補償する判決を促した。
 「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」、「韓国挺身隊問題対策協議会」、「全国女性連帯」など市民社会団体が同日午前11時、ソウル市の駐韓日本大使館前で「朝鮮学校高校無償化不指定撤回を求める各界共同声明」を発表し記者会見を開いた。
 彼らは行動声明の中で「去る2013年、日本の安部政府は『高校授業料無償化』制度を施行するにあたり、各種学校の認可を受ける外国人学校のうち朝鮮学校のみを排除する差別的決定を下した」として、「朝鮮半島の分断状況と悪化する朝・日関係を利用し青少年たちを制度的に差別することは文明社会において容認することの出来ない差別であり人権蹂躙」であると指摘した。
 そして日本国憲法14条、教育基本法、国際人権規約など日本の法律と国連社会権規約委員会勧告などについて言及しつつ「政治的理由により高校無償化制度を差別の手段として悪用することは、制度の立派な趣旨を自ら棄損するもの」だと断じた。
日本国憲法14条には、法のもとすべての者は平等であるとする規定があり、教育基本法には人種、信念、性別などにより教育上差別を受けないと明記されている。また、国連社会権規約委員会は日本政府の措置は差別であるとして補助金支給再開を勧告した。しかし、日本の文部科学省は昨月、朝鮮学校がある地方自治体に通知文を送り、朝鮮学校に対する補助金の支給に留意することを通報した。これに対し参加者らは「我々は朝鮮学校への特別な恩恵を求めているのではない。ただ差別の中断と権利の平等な補償を要求しているだけだ。」と強く訴えた。そして「日本政府と司法が国際的な人権基準に沿った常識的な措置をとることにより差別を解消し、ひいては互恵平等な韓・日関係の礎を築くこと」を促した。
 韓国内134の市民社会団体が名を連ねた共同声明は日本の市民団体が構成した「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」、「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」などを通じ日本の裁判所へ伝えられる予定だ。
 この日、記者会見には「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」のチョン・テヒョ共同代表、「朝鮮学校と共にする人々・モンダンヨンピル」のキム・ミョンジュン事務局長、「全国女性連帯」のソン・ミフィ代表、弁護士のシム・ジェファン氏ら10余名が参加した。

[共同声明]
 日本政府と裁判所は朝鮮学校に対する‘高校無償化’不指定撤回によって平等な教育権を保障しなければなりません。

 去る2013年、日本安倍政権は‘高校授業料無償化(高校無償化)’制度の施行において‘各種学校’の認可を受けた外国人学校の中で朝鮮学校だけを排除する差別的決定を下しました。このような決定は日本の地方自治体にも影響を及ぼし、朝鮮学校に対する教育補助金の支給を打ち切るなどの露骨な差別につながっています。
 この間、朝鮮学校は日本全国28都道府県で認可を受け、日本の私立法施行規則によって所管都道府県に教育目的と教育内容、授業日数、学生数、教職員数などを提出してきました。数十年間日本社会の中で認可された教育機関として役割を果たしてきた朝鮮学校に対して‘北朝鮮との関係’を前面に出して、差別的措置を取ったことは韓国社会に大きい衝撃を与えました。
 朝鮮半島の分断状況と悪化した日朝関係を利用して、青少年を制度的に差別することは文明社会では容認されない差別であり、人権蹂躙です。

 日本国憲法14条は法の下に皆が平等だと規定しており、日本国の教育基本法もまた‘人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない’と規定しています。日本政府が公式に承認して法律的効力を持っている国際人権規約もまた‘平等に教育を受ける権利’を保障しています。
 日本政府がすべての日本学校および外国人学校が適用を受ける‘高校無償化’制度から朝鮮学校だけを排除したことは日本国憲法および教育基本法、国際人権規約、すべてに背く措置です。
しかも‘高校無償化’制度は教育の機会均等を目的に作られた法です。日本政府が‘政治的’理由で‘高校無償化’制度を差別の手段として悪用することはその制度の立派な趣旨を自ら傷つけることに他なりません。

 すでに国連社会権規約委員会は去る2013年に日本政府の措置が‘差別’であると規定し‘高校教育授業料無償化プログラムが朝鮮学校に通う子どもたちにも適用されることを求める’という勧告を採択し、国連人権差別撤廃委員会もまた2014年に‘朝鮮学校が[高校授業料就学支援金]制度の恩恵を受けられるようにするべきで、地方政府の補助金支給もまた再開または維持することが勧めなければならない’ことを勧告してきました。

 このようなときに、去る3月29日日本文部科学省が朝鮮学校がある都道府県知事あてに馳浩文部科学大臣名義で通知書を送り、各地方自治体が判断する朝鮮学校に対する補助金支給に対してまで‘留意’を求めるとしながら、事実上地方自治体の補助金支給まで牽制する通知を送るなど類例のない差別的な措置を継続し、国際人権機構の勧告を無視しています。

 日本の安倍政権の差別政策に抗議して、朝鮮学校の学生と経営団体である朝鮮学園が‘高校無償化’不指定撤回を要求する訴訟にまで訴え、裁判所の判決を目前にしています。
 私たちは日本の裁判所が日本国の法律と国際人権規約により安倍政権の差別的措置に制約を加え、日本社会の一構成員である朝鮮学校に‘高校無償化’による支援および地方自治体の補助金交付をするようにすることによって法律と国際社会が保障した平等な教育権を実現することを訴えます。
 私たちは‘朝鮮学校’に特典を要求するのではありません。単に差別の中断と権利の平等な保障を要求するのです。
 日本政府と裁判所が国際的人権基準に合う常識的な措置を取ることによって差別を解消し、進んでは互恵平等な韓日関係の踏み石を用意することを求めます

2016年4月22日
(団体名省略)
(総134団体連名)

アムネスティ日本が朝鮮学校への補助金交付を要請

文科省は朝鮮学校への補助金維持、再開を促すべき

文部科学大臣 馳 浩  殿

公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 若林 秀樹

去る3月29日、文部科学省は都道府県知事あてに「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」として通知を送付しました。アムネスティ・インターナショナル日本は、今回の政府による通知について、政治的判断に基づいて特定のマイノリティ集団の教育の権利に対する差別的取り扱いを助長する恐れがあると懸念します。

同通知において文科省は、朝鮮学校が「北朝鮮と密接な関係を有する」朝鮮総聯が教育内容などに影響を及ぼしていると日本政府が認識している、としたうえで、こうした「特性」を考慮して「朝鮮学校に係る補助金の公益性、教育振興上の効果等」について検討することを促しています。

この通知以前の2月7日、自民党は「北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する緊急党声明」を出し、同党の北朝鮮による拉致問題対策本部が2015年6月に要請した制裁強化策を速やかに実施するよう政府に対して求めています。同要請には、朝鮮学校の補助金交付について、地方公共団体に対して公益性の有無を厳しく指摘し、全面停止および住民への説明を行うことを指導・助言するよう求める提言も含まれていました。

そもそも、2010年に高校無償化制度に関する法が成立して以来、日本政府は政治的判断を理由に朝鮮学校をその適用から除外してきました。それ以降、複数の地方公共団体が朝鮮学校への補助金の交付を凍結あるいは減額する措置をとっています。

一方、朝鮮学校で学ぶ子どもたちの教育に対する権利については、2008年の自由権規約委員会、2010年の子どもの権利委員会および2014年の人種差別撤廃委員会など、国連の条約諸機関が日本に対して繰り返し懸念を表明し、是正勧告を出しています。

人種差別撤廃委員会は2014年の日本審査に関する総括所見で、人種差別撤廃条約の第2条(締約国の差別撤廃義務)と第5条(法律の前の平等、権利享有の無差別)に照らして「朝鮮学校へ支給される地方政府による補助金の凍結もしくは継続的な縮減」について懸念を表明し、「朝鮮学校への補助金支給を再開するか、もしくは維持するよう、締約国が地方政府に勧めること」を勧告しています(パラグラフ19)。

文科省は、同通知において「朝鮮学校に通う子供たちに与える影響にも十分配慮しつつ」としていますが、本来であれば、国連条約諸機関からの勧告を誠実に実施し、朝鮮学校への補助金の維持もしくは再開を地方公共団体に促す内容の通知を出すべきです。

社会権規約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約など複数の国際人権条約は、人種や皮膚の色、政治的意見やその他の意見などにかかわらず、いかなる差別もなしに条約に定める権利を尊重し確保することを締約国に義務付けています。そして、この権利の中に、子どもたちの教育に対する権利も含まれています。

アムネスティ日本は、自国内のマイノリティ集団に属する子どもたちの教育の権利について、特定の国家との外交関係を理由に差別的に取り扱うことはこれら国際人権諸条約上の国家の義務に違反するものであることを、日本政府および各地方公共団体が想起するよう求めます。とりわけ日本政府に対して、2014年の人種差別撤廃委員会によるパラグラフ19の勧告に真摯に向き合い、地方公共団体に対して朝鮮学校への補助金交付の再開あるいは維持を促すよう要請します。

また、社会権規約13条(教育についての権利)に基づき、朝鮮学校を高校無償化の対象に含めることや、現在は無償化の対象となっていない教育機関(「各種学校」とされていない「外国人学校」やフリースクールなど)に通う子どもたちも対象にするよう、アムネスティ日本はあらためて日本政府に要請します。

無償化連絡会・大阪が名古屋市長に抗議文

民族教育の保障は政府・地方自治体の当然の責務

名古屋市長河村たかしさんの朝鮮学校に対する「補助金の全部あるいは一部停止」発言に強く抗議し、撤回を求めます!

名古屋市長 河村たかし様

2016年3月20日
朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪
共同代表:丹羽雅雄(弁護士)
伊地知紀子(大阪市立大学教授)
宇野田尚哉(大阪大学准教授)
藤永壯(大阪産業大学教授)
韓哲秀(朝鮮学校保護者)
http://www.renrakukai-o.net/index.html

私たち「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪(無償化連絡会・大阪)」は、2012年に、大阪に10校ある朝鮮学校の関係者と弁護士と支援する市民で結成され、朝鮮高級学校への高校無償化(就学支援金)制度適用を求める裁判と大阪府・市からの補助金再交付を求める裁判を支援しているものです。

この度、名古屋市議会本会議2月定例会(3月4日)の本会議個人質問で松井よしのり議員(自由民主党名古屋市会議員団)がおこなった「朝鮮学校への補助金について」に対して、河村たかし市長は、政治・外交上の理由で「漫然と補助金を支給し続けることは国際社会の流れに反する」とし、「全部または一部について執行停止にする」と答弁しました。
2012年の新学期を前に大阪府・市から補助金をカットされてしまい、学校運営に非常に大きな影響を受け、現在裁判係争中の大阪朝鮮学園を支援している私たちにとっては、とうてい他人事とは思えません。

朝鮮学校を取り巻く教育環境等について、国連関連委員会はこれまでに幾度となく日本政府に対して勧告を行ってきました。2014
年8月、国連人種差別撤廃委員会は、「締約国がその立場を見直し、自治体による朝鮮学校への資金提供を再開させ、また、高等学校就学支援金からそれぞれの朝鮮学校に見合った補助金額を提供することを推奨する」と表明しました。
「漫然と補助金を支給し続けることは国際社会の流れに反する」どころか、国際人権基準に照らせば、朝鮮学校の民族教育を保障することは、日本政府・地方自治体の当然の責務です。

愛知県知事の大村秀章さんは3月7日の定例記者会見で「子どもたちの教育とは切り離して考えるべきだ」と語り、従来通り補助金を交付する考えを示しました。これはきわめて妥当な判断だと考えます。
私たちは、名古屋市長の河村たかしさんが、名古屋朝鮮初級学校に通う子どもたちが夢と希望を持って、この日本の地で、名古屋の地で学べるようにするために、すみやかに補助金の「全部または一部について執行停止する」とした発言を撤回し、従来通り、2016年度補助金の交付をすることを、強く求めます。

大阪弁護士会が「補助金問題」で声明発表

朝鮮学校生徒らに対する重大な人権侵害、不当な差別

特定の外国人学校に対する補助金停止に反対する会長声明

自由民主党は、本年2月7日、「北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する緊急党声明」を発出した。同声明では、政府に対し、同党北朝鮮による拉致問題対策本部が昨年6月に提言した「対北朝鮮措置に関する要請」13項目の制裁強化策を速やかに実施するよう求め、その第7項においては、朝鮮学校に対する補助金の交付について、「朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し、公益性の有無を厳しく指摘し、全面停止を強く指導・助言すること。」とされている。
しかし、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対し、日本政府が厳しい外交的態度をとることが必要であるとしても、外交問題を理由として各種学校のうちのもっぱら朝鮮学校のみを対象として補助金を停止するように指導することは、朝鮮学校の生徒らに対する重大な人権侵害であり、生徒らへの不当な差別を助長するものである。
すなわち、朝鮮学校に通う子どもたちが他の学校に通う子どもたちと異なる不利益な取扱いを受けることは、初・中・高等教育や民族教育を受ける権利にかかわる法の下の平等(憲法第14条)に反するおそれが高く、一人ひとりの子どもが、一個の人間として、また、一市民として成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利である学習権(憲法第26条第1項、第13条)を侵害する結果となる。また、外交問題を理由として朝鮮学校への補助金を停止するように指導することは、教育基本法第4条第1項の「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」との規定に反するのみならず、我が国が批准する国際人権(自由権・社会権)規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約が禁止する差別に当たる。
既に一部の地方公共団体において行われている朝鮮学校に対する補助金の凍結もしくは継続的な縮減については、2014年(平成26年)8月29日に公表された国連人種差別撤廃委員会による総括所見においても、懸念が述べられている。
そして、自由民主党の声明の発出に伴う朝鮮学校への差別的取扱いの機運は、各地方公共団体へも重大な影響を与えており、3月4日には、名古屋市が、朝鮮学校の補助金について、新年度から一部か全額の支給を取りやめることを決定したと報じられている。
当会は、特定の学校に通う子どもたちに対する差別的な人権侵害が行われることを防ぎ、全ての子どもたちが教育を受ける権利を平等に享受することができるよう、政府に対して、外交問題を理由として朝鮮学校に対する補助金の全面停止を地方公共団体に指導・助言しないことを求め、また、地方公共団体に対しては、各種学校に対する補助金の支出について上記憲法上の権利、教育基本法の趣旨及び各種条約の趣旨に合致した運用を行うよう求めるものである。

2016年(平成28年)3月14日
大阪弁護士会
会長 松 葉 知 幸

無償化連絡会が大阪府議団に申し入れ

4政党、8名の府議会議員と面談し、朝鮮学校の実状訴え

 2015年10月21日、府下10校の朝鮮学校に対する「大阪府外国人学校振興補助金」の交付復活を求めて、「無償化連絡会・大阪事務局のメンバーと朝鮮学校保護者代表らが大阪府庁を訪れ、各会派の府議会議員らと面談し、申し入れを行いました。
 この日、申し入れのメンバーたちを出迎えたのは、自民、公明、民主、共産党に属する8名の府会議員たちでした。
 まず、連絡会・大阪の藤永壮共同代表が、朝鮮学校のみを政治的ターゲットとした「補助金不支給」問題の経緯を辿りながら、国際社会における日本の人権状況、とりわけ民族的マイノリティーのための教育施策が非常に差別的で立ち後れているとの厳しい批判に晒されている現状を踏まえ、まずは府政を担う議員たち自らが民族教育の歴史と意義を深く理解するため積極的に朝鮮学校を訪れる努力をして欲しいと訴えました。
 その後、実際に子どもたちを朝鮮学校に通わせている保護者代表と日本人支援者の立場から順に発言しました。
 ある保護者は、朝鮮学校に通う子どもたちの進路が過去と違い多様化している現状から、将来、日本と朝鮮半島を結ぶ「架け橋」となり得る立派な人材を朝鮮学校は育てている。そんな学校を行政自らが差別するのは間違いだと訴えました。また、別の保護者は複数の子どもを朝鮮学校に就学させている逼迫した家計の状況を訴えつつ、全ての納税義務を果たしているにも関わらず教育助成を受けられないのは明らかな制度差別だと指摘しました。また、大阪朝高ラグビー部が大阪府代表として全国大会に何度も出場を果たしている事実に触れ、大阪の名を全国に轟かせている代表校を学校として認めていないのは矛盾していると訴えました。
 また、朝鮮学校を支える立場として日本人支援者らも発言しました。補助金が不支給となった後、校舎も老朽化し教育環境を整えることもままならないばかりか、先生たちも厳しい生活苦と闘っている。子どもたちの明るい笑顔のため一刻も早く支給を再開して欲しいと求めました。
 最後は長崎由美子事務局長が、地域社会と共生している朝鮮学校の様子を紹介しながら、多様性を重んじ様々な出自を持つ人々と絆を結んできた大阪が、全国に先駆け朝鮮学校に公的補助を行った歴史に鑑み、一日も早く補助金を復活させるため議会において尽力して欲しいと訴えて申し入れを結びました。

「訴訟の行方を見守る」としつつも民族教育への一定の理解も
 各会派の府議らは、朝鮮学校に携わる関係者らの話に時折深く頷きながら、朝鮮学校を取り巻く厳しい現実と民族教育の持つ意義について真摯に聞き入りました。
 そして、子どもたちが学ぶ権利は等しく守られなければならないと言う立場は自分たちも何ら変わらないと言いました。但し、現在は同問題で「大阪朝鮮学園」と大阪府・大阪市は係争中という事情があるので、今は裁判の行方を見守らざるを得ないとも言いました。その他にも、府議らは発言の中で、朝鮮学校の教育は大変素晴らしいと讃え、自己の民族的アイデンティティーを守ることの大切さにも触れました。また毎週火曜日、補助金復活のため府庁前で行われている「火曜日行動」に参加した保護者や同胞、支援者らの力強い訴えと歌声はいつも自分たちに届いている言い、申し入れに訪れたメンバーらに明るい希望を与えました。各会派につき30分ずつという短い時間ではありましたが、申し入れに訪れた代表らは朝鮮学校を守り抜こうと、思いの丈を議員らにぶつけました。そして、今回の申し入れを通して、こどもたちの笑顔と明るい未来のために、より一層ちから強く運動を繰り広げる決意を新たにしました。

各党の府議会議員らに直接手渡した「申し入れ書」の全文
「大阪府外国人学校振興補助金」再交付に向けて取り組んで下さい。
申し入れ書
2015年10月21日
大阪府民のための、日頃よりのご活動に心より敬意を表します。
私たちは「朝鮮学校の子どもたちから笑顔と夢を奪うな!」と活動をしている「朝鮮高級学校の無償化を求める連絡会・大阪」(以下連絡会・大阪と略す)です。「連絡会・大阪」は朝鮮学校保護者、弁護士、日本人支援者の3者で2012年3月に結成し、活動を続けています。
 私たちの大阪府は日本で最も多くの在日韓国朝鮮人の方々が暮らす自治体として、全国に先駆けて朝鮮学校への補助金を支給し、共生のモデルを作ってきました。
ところが、橋下徹府政が誕生し、朝鮮学校への補助金支給を問題視し、文部科学省が高校無償化の対象から外したことを受け、四要件(①日本の学習指導要領に準じた教育活動をおこなうこと、②学校の財務情報を一般公開すること、③特定の政治団体と一線を画すこと、④特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと)を突き付けました。そして朝鮮学園側が四要件を全て認めたにもかかわらず、突然子どもたちの迎春公演参加を理由とし府議会決議を経て、2012年度よりすべての補助金を停止しています。
 現在学校法人大阪朝鮮学園は補助金の再交付を求めて、2012年9月に大阪府・大阪市を被告に大阪地裁に提訴をしました。現在裁判は継続中ですが、補助金停止から3年が経過し学校運営の厳しさは日々増しています。
 国連の人種差別撤廃委員会の「日本の定期報告に関する最終見解」では地方自治体の朝鮮学校に対する補助金停止について勧告が出されています。「特別の重要性を有する勧告として次回の定期報告で具体的な施策取組を説明せよ」と書かれています。
 ぜひとも大阪府議会議員として国連人種差別撤廃委員会からのこの勧告を重く受け止めてください。また大阪朝鮮高級学校のラグビー部、東大阪朝鮮中級学校サッカー部が大阪府代表として全国大会出場など、大阪府の誇りとして活躍している朝鮮学校の子どもたちへの差別を1日も早くやめてください。
 裁判の結審は来年になるようですが、ぜひ府議会議員の皆様におかれましては、「子どもの学ぶ権利を保障し、共に生きる大阪府を作る」という視点で、朝鮮学校への補助金再交付に取り組んでいただきたく、お願い申し入れをさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

無償化連絡会が公正な判決を裁判所に要請

朝鮮学校の民族教育権利を求める要請ハガキ3,794枚を裁判所に提出

IMG_0946.JPG昨年12月26日、「無償化連絡会・大阪」事務局の代表3名が「朝鮮学校への大阪府・大阪市補助金の支給再開」と「朝鮮高級学校への『高校無償化』制度適用」、及びこれらを求めて争われている二つの裁判において公正な判決をを求める要請ハガキ合わせて3,794枚を携え、大阪地方裁判所第7民事部を訪れました。
これまでも「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」は、様々な活動を通じて民族教育の権利を守る運動に取り組んできました。今回も毎週火曜日に大阪府庁前で行われている「火曜日行動」と10月20日の地域別街宣行動、11月10日にJR大阪駅前で行われた「大阪一斉街宣行動」を通じて、差別的政策に苦しみながらも、力強く民族教育を続けている朝鮮学校の現状を広く宣伝し、要請ハガキへの協力を訴えました。
ハガキには、笑顔で学ぶ朝鮮学校・生徒の写真とともに以下の文言が刷られています。
「高校無償化」制度からの適用除外、相次ぐ地方自治体からの補助金支給停止。そして、支給を続ける自治体へ停止を促す文科省通知…。朝鮮学校は、国際化時代の日本社会にとって多様性のバロメーターです。すべての子どもたちが等しく学べる社会を実現するために司法の公正な判断を切に願います。
そして表面に設けられた空欄には朝鮮学校の子どもたちを励ます数多くのメッセージが署名と共に寄せられました。
「民族教育の権利が認められるまで一緒に頑張りましょう!」、「朝鮮学校の子どもたちをいじめないで下さい。」、「すべての子供たちが安心して学べる社会を築きましょう!」…
朝鮮学校の民族教育権利のみにとどまらず、日本に真の豊かな「共生社会」を築こうとする支持者らの温かい心が一枚一枚のハガキにあふれていました。15724522_1196844717096545_1337348588332306443_o.jpeg
また、支援の輪は日本国内にとどまることがありませんでした。無償化連絡会の呼びかけに応じ、韓国の市民団体「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」が要請ハガキへの署名活動に協力してくれました。急な呼びかけにも関わらず、各方面に広く署名を呼び掛けてくれた韓国では裁判費用に充てて欲しいとカンパまで集めてくれました。温かいメッセージが添えられた1,000枚のハガキと共に貴重なカンパは、年末に韓国を訪れていた無償化連絡会・大阪:藤永壯共同代表に直接手渡されました。
12月26日の提出日に合わせて、すべてのハガキが無償化連絡会事務局で集約されまとめられました。そして無償化連絡会の代表らが、これらすべての人々の温かい気持ちも一緒に携え大阪地裁を訪れました。しかし当日、裁判所では特別な取扱いもなく、至って事務的な対応で要請ハガキを受理するのみでした。非常に残念な対応ではありましたが、様々な活動を通じて集められた朝鮮学校を支える多くの声はきっと司法にも届くものと信じております。「火曜日行動」や街頭宣伝活動、要請ハガキの署名にご協力下さった皆さまに心からお礼申し上げます。

韓国「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」からのコメント

日本国内にあるすべての外国人学校に「高校無償化」制度が適用されていますが、唯一「朝鮮学校」だけが制度から除外されています。
さらに大阪府と大阪市は補助金すら停止させてしまいました。
子どもたちが原告となって裁判が行われており、朝鮮学校の生徒たち、オモニたちが街頭に立って差別の是正を訴えています。また、日本の良心的な方々が「高校無償化連絡会」をつくって活動しています。
来年1月、大阪府・市を相手取った裁判の判決が言い渡されます。
韓国でも心をひとつに集め、預かった要請ハガキ1,000枚を来訪中の無償化連絡会・大阪、藤永代表に手渡しました。
私たちの気持ちも伝え、必ずや裁判で勝利することを祈りながら…

補助金裁判不当判決に抗議する研究者有志の声明

地域を越え全国の「研究者」有志らに広く賛同を募る

 2017年1月26日、学校法人大阪朝鮮学園が大阪府と大阪市を相手取り、補助金不交付処分の取消しなどを求めた裁判において、大阪地方裁判所第7民事部は大阪朝鮮学園の請求を全て却下、棄却する判決を言い渡しました。わたしたち研究者有志は、これを子どもの学習権や民族教育の意義を一顧だにしない不当判決と捉え、強く抗議します。

大阪朝鮮学園に対する補助金交付は、大阪府からは1974年度以来40年近くにわたって、また大阪市からも1990年度以来20年以上も継続された事業でした。ところが2010年3月、当時の橋下徹大阪府知事は突如、大阪朝鮮学園に対し、学習指導要領に準じた教育活動を行うこと、特定の政治団体と一線を画すこと、特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと、などのいわゆる「四要件」を補助金交付の条件として一方的に提示しました。さらに2011年の秋には、教室だけでなく職員室からも肖像画を外すよう大阪府の要求がエスカレートしていきます。そして2012年3月、大阪府が交付要綱を「四要件」に即して改悪したのち、毎年恒例の平壌での迎春公演に朝鮮学校の児童・生徒が参加している旨を『産経新聞』が報道すると、大阪府はこれが「四要件」に抵触するとして補助金全額の不交付を決定しました。続いて大阪市も大阪府の決定に追随し不交付を決めました。大阪市が交付の根拠となる要綱を改定したのは不交付決定後のことでした。

大阪府が日朝関係の悪化を背景に定めた「四要件」が、朝鮮学校を標的とする政治的意図をもっていたことは明らかです。「学習指導要領に準じた教育」を求めることも、教室や職員室における掲示物の適否を云々することも、行政による裁量の範囲を逸脱した干渉です。しかし判決文はこの「四要件」を含む要綱も「地方公共団体内部の事務手続」を定めたものであるから問題はなく、朝鮮学校を狙い撃ちにしたとは言えないと大阪府を擁護しました。さらに補助金不交付による児童・生徒の学習環境悪化、保護者の経済的負担増大などの悪影響については、補助金が学校法人への助成という枠組みを前提としている以上やむを得ない、とさえ述べています。判決文に司法の独立性を担保するような判断はまったく見られず、形式的な議論に終始することによって行政の不当な措置を追認し、正当化するだけのものとなっています。

わたしたちは今回の不当判決が、大阪府・市だけにとどまらず、他の地方公共団体にも負の影響を与えるのではないかと強く憂慮しています。大阪府前知事の「四要件」提示を発端とする大阪での動きは、文部科学省の「高校無償化」制度からの朝鮮学校排除とあいまって、他の地方公共団体による補助金の打ち切りや減額を誘発しました。2016年3月には、文部科学省が朝鮮学校への補助金を交付してきた28都道府県の知事あてに、制度の再チェックを求める通知を発したため、各地方公共団体は対応を余儀なくされました。こうした日本政府・地方公共団体による朝鮮学校に対する狙い撃ち的な差別政策が、事実上、朝鮮学校は排除してもよいのだという排外主義的な思想を「上から」流布、扇動する機能を果たし、民族教育に対する風評被害をもたらしてきたのです。かかる状況を振り返るとき、わたしたちは、「人権の砦」であるはずの司法がこれに「お墨付き」を与えたことを、きわめて深刻な事態として捉えざるを得ません。すなわち、今回の不当判決によって無残な形で否定されたのは、大阪朝鮮学園の訴えだけではありません。日本社会の良識であり、民主主義であり、人権意識であり、植民地主義を克服しようとする歴史認識なのです。

教育の機会均等実現や民族教育の保障は、憲法をはじめとする国内法規や国際人権法に定められ、政府・地方自治体として実行しなければならない責務でもあります。実際に2014年9月には、国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して、朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用とともに、地方自治体の補助金の再開・維持を要請するよう勧告しています。しかし今回の不当判決は、憲法や国際人権法などが「補助金の交付を受ける権利を基礎付けるもの」ではないとして、このような勧告に明らかに逆行する判断を示しました。

以上の点から、わたしたちは今回の大阪地裁判決を決して認めることができません。また、朝鮮学校への補助金制度を維持している各地方公共団体には、大阪地裁の不当判決を補助金交付見直しの口実としないよう、そして既に補助金を停止している地方公共団体にはこの判決を自己正当化のために悪用しないよう求めます。わたしたちは地方公共団体が、歴史的経緯と国際基準に照らして民族教育の権利を保障し、朝鮮学校への補助金交付を維持、発展させることを求めます。あわせて政府・地方公共団体の文教政策において、朝鮮学校に対するレイシズム(人種・民族差別)をただちに中断するよう求めます。

2017年2月1日

大阪地裁判決を非難、朝鮮法律家委員会代弁人が談話

“ 不当な差別直ちに中止せよ ”

 大阪朝鮮学園が大阪府・市に対して補助金不支給決定の取り消しなどを求めた裁判で、大阪地方裁判所が不当判決を下したことと関連し、朝鮮法律家委員会代弁人は7日、これを糾弾する談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。

談話は、大阪地裁の判決は、在日朝鮮人の民主主義的民族教育の権利を踏みにじる暴挙、朝鮮と総聯に対する許しがたい敵対行為としてこれを厳しく糾弾するとし、次のように指摘した。

米国の対朝鮮敵視政策に便乗して朝鮮と総聯に対する制裁策動に執着するばかりか、民族教育にまで魔の手を伸ばしている日本の反動層の下心がどこにあるのかは火を見るより明らかだ。
それは、朝鮮学校に対する教育補助金の支給を停止することによって、保護者に財政的負担と心理的圧迫感を与え、ひいては彼らを朝鮮と総聯から切り離そうとするところにある。
過去、日本が朝鮮人民に働いた犯罪から見ても、日本の国内法から見ても日本当局は当然、在日朝鮮人の民族教育権利を尊重し、保障すべき法律的・道徳的責任を負っている。
大阪地方裁判所の今回の判決は、外国人に対し同等な教育権利を保障することに関する国際人権規約にも全面的に背く反人倫的・反人道的犯罪行為である。
日本の反動層は、在日朝鮮人の民族教育に対する不当な差別行為を直ちに中止しなければならない。

大阪地裁判決を糾弾、民弁が声明

“ 学ぶ権利、侵害するな ”

 大阪朝鮮学園が大阪府・市に対して補助金不支給決定の取り消しなどを求めた裁判で、大阪地方裁判所が不当判決を下したことと関連し、南朝鮮の民主社会のための弁護士会(民弁)は10日、これを糾弾する声明を発表した。

声明は、日本政府による高校無償化からの朝鮮学校排除と地方自治体による補助金不支給処分は、朝鮮学校生徒を狙い撃ちにした明白な差別行為であるとし、次のように指摘した。

大阪地裁は、大阪府・市による大阪朝鮮学園に対する補助金交付要件の合理性を認め、補助金に関する法令上、学園に補助金を受給する法的権利はないとの判決を言い渡した。また判決文は、不支給によって生徒らの学習環境の悪化が懸念されるが、やむを得ないとした。
しかし、大阪高等裁判所および最高裁判所は2014年、在日特権を許さない市民の会(在特会)による朝鮮学校襲撃事件裁判において、在日朝鮮人の民族教育権が法的権利であることを明確に認めた。
この度の大阪地裁判決は、教育を受ける権利の保障、とくに最高裁判所が認めた「在日朝鮮人の民族教育を実施する権利の保障」に正面から背くものだ。
民弁は、日本の司法が普遍的人権と教育を受ける権利に反し、日本政府の差別行為を正当化したことに対し、強く糾弾する。
大阪地方裁判所は、朝鮮学校に対する高校無償化不指定処分取り消し訴訟においても、2月15日の結審後、判決言い渡しを控えている。日本の司法が、補助金裁判のような誤判を繰り返さないよう求める。
日本政府は朝鮮学校に対する差別行為を中断せよ! 日本の司法はこれ以上、政治的理由で朝鮮学校生徒らの教育を受ける権利を侵害するな!

神奈川県弁護士会が補助実施求め声明

“ 朝鮮学校の子どもたちが日本社会から疎外され、大きな心の痛手を被っている ”

 3月9日、神奈川県が留保・停止した朝鮮学校の児童・生徒への学費補助を速やかに実施するよう求めて神奈川県弁護士会が声明を出しました。県の対応は学習権を保障する憲法や国際人権諸条約に違反する恐れが大きい上、子どもたちに重大な悪影響を与えたと指摘しています。
 声明では、県が朝鮮学校を運営する学校法人神奈川朝鮮学園に求めた教科書改訂が行われなかったことを理由に補助金支給を停止した事を問題視し「学習権を侵害し、国際人権規約や人種差別撤廃条約、子どもの権利条約に違反する恐れが大きい」としている。
 また、朝鮮学校のみを狙い撃ちした差別性と、私立学校の自主性尊重原則に反して教育内容にまで立ち入った不当性などを列挙し、朝鮮学校の子どもたちが「経済的損害のみならず、日本社会から疎外されたという大きな心の痛手を被っている」と指摘しました。

【神奈川県に対し、神奈川朝鮮学園に通う児童・生徒への学費補助を行うことを求める会長声明】

 神奈川県が2016年度の交付決定を留保している、県内の朝鮮学校5校を運営する学校法人神奈川朝鮮学園(以下「学園」という。)に通う児童・生徒に対する「外国人学校児童・生徒学費軽減事業補助金」(以下「学費補助」という。)について、黒岩祐治神奈川県知事は、2017年2月8日、2017年度の当初予算案に計上しないことを明らかにした。その理由について、学園に通う児童・生徒に対する学費補助は学園が使用する教科書に拉致問題を明記する改訂がなされることが前提となっていたにもかかわらず教科書の改訂ができない状態が続いていることを挙げている。

 しかし、学園で使用している教科書は、全国の朝鮮学校の教職員等で構成された教科書編纂委員会が作成しているもので、学園単独で改訂できるものではない。

 学園は、2012年度をもって学園に対する運営費補助金が打ち切られてから、拉致問題について独自教材を用いて授業を行い、神奈川県職員の見学まで認めている。また、その独自教材については、神奈川県が拉致問題に関する記述が明確になされていると評価するものとなっている。それにもかかわらず、教科書の改訂に固執し学費補助の予算計上をしなかった神奈川県の対応は、朝鮮学校に通う児童・生徒の学習権(憲法第26条第1項、同第13条)を侵害するおそれや、我が国が批准する国際人権規約(自由権規約・社会権規約)、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約に違反するおそれが大きい。

 また、他の外国人学校に通学する児童・生徒に対する学費補助については教科書の記載内容が問題とされたことはなく、学園に通う児童・生徒に対してのみ教科書の記載内容を理由に学費補助を行わないのは、学園に通う児童・生徒に対する差別として憲法第14条に違反するおそれが大きい。

 さらに、県が教科書の記載内容を学費補助の条件とすることは、私学の自主性の尊重をうたった教育基本法や私立学校法の趣旨に反するといわざるを得ない。

 そもそも、運営費補助金の代償として2014年度から開始された学費補助は、従来交付されていた運営費補助金よりも低額にとどまるという問題こそあれ、子どもたちには国際情勢・政治情勢に左右されることなく安定的に教育を受ける機会を確保したいという趣旨で始められたもので、子どもの教育を受ける権利や教育における機会均等・財政的援助・文化的アイデンティティの尊重等を実質化する重要なものである。学園に通う児童・生徒は、拉致問題についても教科書改訂がなされていないことについても何ら責任はないのであり、補助金を交付しないことはこの学費補助制度の趣旨に反する。そしてその結果として、学園に通う児童・生徒は、十分な学費を受けることができないという経済的損害のみならず、日本社会から疎外されたという大きな心の痛手を被っている。

 神奈川県は、多文化共生、国際交流を重視し、学園とも長年信頼関係を築いてきた。当会は、神奈川県に対し、これまでどおり人権を擁護する基本姿勢を維持すること、現在留保している2016年度の学費補助の速やかな実施及び2017年度の予算案への計上を求めるものである。

2017年(平成29年)3月9日
神奈川県弁護士会
会長 三浦修

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